インサイト 2018-11-12

自主調査レポート:ボディサイズ意識とファッションウェア選定行動 ~レディスファッションの購買にサイズは重要か?~:磯田 たみよ

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今回の調査ではレディスファッションにおけるユーザーの「試着行動」「サイズへの意識」に着目しました。
ECは試着できないのがネックといわれますが、実際のところどうなのか、ユーザーは試着で何を確認しているのか。皆さんはどう思われますか?

●ヘビーユーザーは自分のサイズをわかっていて、試着する

月に1万円以上ファッションを購入するユーザーをヘビー・ユーザーと位置づけ、その行動特徴をみたところ以下の通りでした。

月1万円以上購入者は全体の17.6%。最も多いのは20-30代女性(45%)。
・店舗・ネットを半々で使い分ける人が多い。(63%)(図1)
必ず試着すると答えた人が、全体平均を大きく上回る。(27.1%)(図2)
ショールーミング経験者(試着後、ネットで買う)が多い。(図3)
・ショールーミング行動の理由で最も多いのは「他の商品と比較したい」から。(37.9%)
・自身の体型に関する詳しい数値を把握している人が多い。(35.6%)

つまり、自分のサイズを把握しECも使いこなしながら、必ず店舗で試着してから買うといった行動がみられます。
自分のサイズがわかっているのに、わざわざ店舗で試着するわけです。
昨今はECで詳細なサイズ情報が確認できるし、商品自体もSMLの3サイズで規格化が進んでいるので、経験ブランドであれば、着なくてもだいたいサイズ感がわかるにも関わらずです。
ちなみに私の知人もこのタイプで、自分のサイズを詳細に把握し、トップスなら身幅の数値をECでチェックして買うそうです。ネットで買ってもサイズではほぼ失敗しないとのこと。慣れた人は、そんな買い方ができるはずです。

また20代女性には、試着室で悩んで決めきれないといった回答が多くみられます。(図4)

20代女性はサイズを一番気にしない層です。別の設問では、フリーサイズ商品を、ECで寸法を確認せず購入するとの回答が多くみられます。
20代女性の試着室内での葛藤は、どうやらサイズ合わせ以外のところにあるようです。

●女性が試着をする理由

では、女性が店舗で試着をする理由はなんでしょうか。
もちろんボトムスがきつくないか、肩の位置がずれてないか、袖の長さがよいかといったサイズ合わせもありますが、商品の購入を決定づけるのは、その商品をうまく着こなす自分がイメージできるかではないでしょうか。

最初は漠然と、鏡に映った自分が素敵かどうかで決めるのですが、知恵がついてくると、自分を素敵にみせる要因について、あれこれ吟味するようになります。
シルエットがきれいにみえるか、身長に対して丈のバランスがよいか、手持ちの服や小物と合いそうか、デザインやカラーが今年らしいか、生地のハリや落ち感がちょうどよいか、隣のショップでみたアレと合うか・・といった具合に、試着室でくまなくチェックしているのです

●試着行為は、単なるサイズ合わせではない

ファッションMDや店舗販売に従事している方には明らかなことと思いますが、レディスファッションにおいて「サイズ・フィッティング」の重要性は年々薄れています。

現在レディスファッションの主だったブランドは、ほぼSMLの3サイズ展開です。フリーサイズ商品も一般的になりました。レディス商品には、絞ったサイズ展開で売切るための商品企画側の努力と工夫がいっぱい詰まっています。
さらに販売効率をあげるために、間口が広く汎用的な商品を企画し、これをおしゃれにみせる着こなしテクと合わせて訴求する手法がとられています。

たとえばサイズ補正機能の例として、高齢層ユーザーの強い味方であるウェストゴム商品があります。これがなかなかの優れモノで、ファッション性を損なわずサイズの自由度を担保してくれます。また、ボリュームのあるアクセント・アイテムやロング・アウターといったレイヤード・アイテムの商品企画、様々な着こなしテクの提案(袖のロールアップやトップスイン、抜き襟など)でウェアリングはよりルーズになり、サイズ合わせが意味をなさないことすらあります。ここ数年のビッグシルエット流行りで、20代女性の中には小柄なのにわざわざLサイズを選ぶ人もいるようです。

このように、男性のファッションと比べて女性のファッションは非常に自由度が高く、「サイズ」が購買の決め手にならないマーケットです。
レディス商品の購買にはサイズ・フィッティングではなく、スタイリングや着まわし方をサポートすることのほうが重要なのです。

今回の調査レポートについては、以下からダウンロードして頂けます。
ぜひご活用下さい。

調査レポートのダウンロードはこちらから

 

コンサルタント

磯田 たみよ

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