インサイト 2017-12-12

世界的スニーカーブームにみる『モノよりコト』消費の本質とは:千葉 良太

インサイト(Insight) : 洞察、見識、知見

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純粋な物欲の先にあるものはなにか

突然ですが、皆さんはスニーカーを何足持っていますか?ランニング用・通勤用・タウンユース用…用途は色々あると思いますが、少なくとも1足は持っているのではないでしょうか。最近はスニーカー自体が市民権を得て、普段からスニーカーを着用する機会も増えているのではないかと思います。筆者はもともとスニーカーが大好きで365日中300日以上はスニーカーを履いていますが、昨今のスニーカーブームの過熱ぶりには少々驚いています。世界中でなぜここまでスニーカーが人気なのか。今回はスニーカーブームの本質を消費者インサイトの視点から分析してみたいと思います。

筆者が考えるスニーカーブームの理由5選

1.Purchase Reason(購入動機)
2.Trend(流行)
3.New Technology(最新の技術)
4.Longing(憧れ)
5.New Community(新しい共同体)

この5つの理由が融合して未だかつてない化学反応が起こり、世界的なスニーカーブームが生まれているのではないかと筆者は考えます。それではひとつずつ解説してきましょう。

1.Purchase Reason(購入動機)

そもそも、スニーカー自体はとても用途が広いモノです。上記に述べたランニング用や通勤用やタウンユース用以外にも、フィットネス用や歩行動作補助用のものまで様々なメーカーから多種多様に発売されており、かつ価格の幅もかなり広く設定されています。
すなわち、スニーカー自体は私たちの普段の生活にいつでも寄り添える環境が整えられているので、初めて購入するためのハードルが極めて低いモノであること、これが第1の理由です。

2.Trend(流行)

ここ4~5年は海外のファッションコレクションでもスニーカー自体が世界のトレンドになり、スニーカー人気に拍車を掛けている状況がみられます。今まではスニーカーが必要な人しか買わなかったのですが、海外セレブや世界中のファッショニスタがこぞってスニーカーを着用するようになり、SNSによって世界中に拡散されました。【スニーカー】=【オシャレ】という構図が出来上がり、日本においてもトレンドの波が押し寄せ、スニーカーを履く環境が完成しました。これが第2の理由です。

3.New Technology(最新の技術)

昨今のスニーカー市場は、大手スポーツメーカーの技術力を競うための代理戦争の様相を呈しています。記憶に新しいところですと、アディダスがニット素材でアッパーを作ったスニーカーを世界中でヒットさせているのに対し、ナイキは自動で靴紐が締まるスニーカーや、映画バックトゥザフューチャーで主人公が履いていたスニーカーを実際に製作してしまうなど、常に最新の技術がローンチされています。こういった動きは最新家電やガジェット好きの人たちの興味を集め、今までスニーカーに興味がなかった層すらも取り込む趨勢が見られています。これが第3の理由です。

4.Longing(憧れ)

スニーカーとスポーツとの結びつきは深く、スポーツ選手のモデルが発売されることは珍しいことではありません。特に、サッカーやバスケット等の球技においてはその傾向が顕著であり、裏を返せば人気のモデルはモデルとなった選手の人気に比例して世界中に憧れているファンが無数に存在していることを意味しています。
当然ながらファン心理としては、自分が好きな又は憧れているスポーツ選手と同じモデルのスニーカーを履くことによって、自分をなぞらえたい心理が働いています。この心理状態が創出されていること、これが第4の理由です。

5.New Community(新しい共同体)

スニーカーに限った話ではないかと思いますが、レア度や限定といったワードはいつの時代も人の心をくすぐりますよね。例えばレア度が高いスニーカー買うために、今ではSNS等を通じて頻繁にやりとりがされていますが、同じ目的を持った者同士は意外なほどあっさり新しいコミュニティを形成します。そのコミュニティで得られる情報はなによりも貴重で、情報をインプットしたりアウトプットしたりしながら共有することは有意義かつ貴重な体験となります。そしてそのコミュニティをもとに最終的にスニーカーが買えた場合は、有意義かつ貴重な体験から生まれる優越感を得るという構造になっています。これが第5の理由です。

まとめ

さて、長々と書かせていただきましたが、世界的スニーカーブームにみる『モノよりコト』消費の本質はご理解いただけましたでしょうか?スニーカーが『モノ』消費であることは疑いのない事実ですが、そのスニーカーを中心として本来交わることはないはずの購買動機や流行やテクノロジーや憧憬やコミュニティなどが融合することで、いつのまにか【モノ】消費を凌駕する爆発的な【コト】消費の化学反応を生み出しています。現在の世界的スニーカーブームは過去のどんなブームとも全く異なる時代と消費マインドを象徴しているブームなのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

オムニチャネル推進チーム
アソシエイト・コンサルタント

千葉 良太

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