インサイト 2017-08-08

JACK&MARIEにおんせんキャンプShimaBlue…インスタから探る新しいアウトドア体験:福島 江里奈

fukushima

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夏ですね。アウトドアが楽しいシーズンになってきました。
筆者もこの夏、アウトドア体験をしたくなって、「#アウトドア」「#キャンプ」「#グランピング」などのキーワードでインスタ検索していたら新しい発見があったのでご紹介したいと思います。そんなの前から知っているよ!という方、すみません。お付き合いください。

オートバックスは自分と無関係だと思っていました

「#アウトドア」で検索していたら、こんなにおしゃれな画像が目に留まりました。

(出典:http://img5.zozo.jp/goodsimages/469/21047469/21047469B_b_02_500.jpg)

ハッシュタグにあるブランド「jack&marie」をGoogleで検索するとZOZOTOWNが一番上に出てきたので、クリック。テイストの揃った値ごろな商品が多く、どの企業が展開しているブランドなんだろう?アパレル企業かな?と思って調べてみると、なんとオートバックスセブン!!驚き。
こんなことを言ってしまうと怒られてしまうかもしれませんが、筆者の中でのオートバックスのイメージは車の整備やタイヤやパーツなどのカー用品の販売をしている会社というイメージで、ZOZOTOWNに出品しているなんて想像もしていませんでした。

お店のイメージは、店舗の前にタイヤがあってて、車を持っていない筆者は到底足を踏み入れることのない場所だと勝手に思っていました。

JACK&MARIEは2017年4月に始まったブランドで、2017年6月からZOZOTOWNでの販売をスタートしています。以下、ブランド誕生の経緯についてオートバックスセブンのプレスリリースの内容より抜粋です。

時代とともにクルマ社会のあり方が変化し、クルマに対する消費者の価値観の多様化が進み、クルマは「保有」から「使用」へシフトしています。このような環境の中、既存のオートバックスとは異なるショップブランドとして、”クルマ“という軸をそのままに、『クルマ』を通じたライフスタイルを提案します。(引用:株式会社オートバックスセブン ニュースリリース

「”クルマ“という軸はそのままに」というところにポイントがあると思いました。ファッションを扱う企業がライフスタイル全般を提案する中に、アウトドア用品があるケースはあっても、”クルマ”を軸にしている企業がファッションまで提案するという事例は他に見たことがなかったので、とても衝撃を受けたのだと思います。多くはアウトドア用品ですが、バッグやTシャツやストールなどのタウンユースできるアイテムまで展開しています。

クルマを軸にしている企業だからカーライフの詳細が鮮明にイメージできて、ファッションブランドにもアウトドア用品ブランドにもない新しいトータルコーディネート提案ができるのでしょう。例えば、クルマに物を詰め込むときの収納に使えて、重ねて裏返せば調理台としても使えるコンテナや、ピクニックシートと同じデザインで統一された防水のシートカバーとシートベルトパッドなど、目的地に向かう道中も楽しんで欲しいというクルマを中心に置いたアイディアが伝わってきます。

(左 出典:http://img5.zozo.jp/goodsimages/857/23053857/23053857B_b_12_500.jpg)
(右 出典:http://img5.zozo.jp/goodsimages/857/23053857/23053857B_18_D_500.jpg)

クルマを所有する人ではなく、ドライブをする人に着目したときに市場規模がどれくらい増減しているのか気になったので、調べてみましたが、レジャーでドライブしている人は2014年から減り続けているようです。以下の表は、公益財団法人 日本生産性本部 余暇創研による2014年から2016年の余暇活動の調査結果をまとめたものです。(上位20位のみ)
(参照:レジャー白書2017,公益財団法人日本生産性本部,http://www.jpc-net.jp/leisure/)

矢野経済研究所の調査によると、カー用品市場も同様に2014年から縮小傾向が続いており、そんな中でクルマに乗って出かけるきっかけを創造することはとても難しいと思います。しかし、インスタなどの写真投稿SNSが盛んになることで、アウトドアまでもファッションの一部と化し、どこに行くかと同じくらいフォトジェニックな写真が撮れるかどうかに関心が高まっているのではないでしょうか。最初はレンタルでも本格的に揃えるとなったら多少高くても納得のいくものを買うというような消費がアウトドアでも起きているのではないかと思います。「年に数回しか使わないから、安くてもいい。」「どうせ汚れるからおしゃれじゃなくてもいい」という発想ではなく、「せっかくやるなら好きなものに囲まれたい」「私らしくアウトドア用品をコーディネートしたい」という発想の人が増えることで、JACK&MARIEのようなストーリーのある世界観を持ったブランドが人気を集めるのではないかと思いました。

四万温泉×キャンプ!『温泉街=趣のある旅館』ではない仕掛け方

次に「#グランピング」でインスタ検索したら、こんなものが目に留まりました。

「おんせんキャンプ?」調べてみると、群馬県にある四万温泉でグランピングができるというものらしく、2017年4月にオープンした施設でした。施設内は以下のような様子です。星が見えるベッドや、ハンモックのあるテラスなどと一緒に、本格的な温泉もあります。すでに8月は満室の日が多く、予約が取りづらい状況になっていました。

(出典:[楽天トラベル] https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/162764/gallery.html)

四万温泉と言うと300年以上続く歴史のある旅館があり、江戸時代から時が止まったままの温泉地というイメージですが、このおんせんキャンプはそういったイメージとは全く違う方向で人気を集めています。もともと四万ではキャニオニングやカヌーなどの体験ができるのですが、そういったアクティビティ目当てで来られる観光客向けに、アウトドア感覚で温泉に泊まれる新しい宿を作ったのではないでしょうか。四万周辺には草津温泉や伊香保温泉などの名湯があり、趣のある温泉街という軸で探されてしまうと優位性が弱くなってしまいますが、「グランピングができる温泉という新しいコンセプト」を掲げることで、それらの名湯と横並びにならず独自のポジションを確立できているのだと思います。

グランピングは、キャンプの醍醐味である、自然を肌で体感するアウトドア感を軸に置きながらも、睡眠の質や温度調整などのキャンプの問題点をクリアしている新しいアウトドアトレンドです。以下で図にしてみました。

今回はアウトドアのトレンドを探るべく、インスタを使って情報収集しました。インスタのハッシュタグ検索機能は、単品にストレートに辿り着けるので、ショップ→ブランド→カテゴリ→価格帯と絞り込むECの検索方法よりも自分が想定してなかった良いものを見つけられる可能性が高くなると思います。今回の場合で言うと、アウトドアに詳しくない筆者がアウトドア用品を探そうとしたら、まずZOZOTOWNでTHE NORTH FACEやColumbiaでブランド検索をし、JACK&MARIEの存在に気づくことはなかったかもしれません。しかし、「#アウトドア」で広くインスタ検索したから知らないブランドの自分好みの商品に出会うことができたのだと思います。これは「アウトドア用品が欲しいな~」と実店舗をウィンドウショッピングしていて偶然知らないお店で衝動買いしてしまう感覚に似ていると思います。このようにインスタは単品で勝負できるメディアなので、無名のブランドが新しい顧客を作ろうと思ったときに、最有力ツールになるのではないでしょうか。

オムニチャネル推進チーム
アソシエイト・コンサルタント

福島 江里奈

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