インサイト 2017-03-28

ユニクロも新業態を出店!アスレジャーが注目を集めているワケ:福島 江里奈

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今回は2016年にトレンドになった「アスレジャー」について考えてみようと思います。

アスレジャーは、アスレチック(運動競技)レジャー(余暇)を組み合わせた造語で、休日にジムでエクササイズをするようなスポーツウェアを中心にコーディネートされたファッションのことを言うそうです。
2000年頃ヨガブランドが発信し、2015年にアメリカでブームが起こり、2016年、日本で話題になりました。下の写真ようなスポーティーなファッションを街でよく見かけませんか?

  
出典(左):s-media-cache-ak0.pinimg.com /出典(中):www.nergy.jp /出典(右):mens.tasclap.jp

アスレジャーは少し前にブームになったノームコア(ノーマル+コア=究極の普通)ファッションよりもスポーツの要素が強くなっています。ノームコアのキーワードが、「定番」「シンプル」「ベーシック」「ミニマム」などで、アスレジャーのキーワードは「シーンレス」「ジェンダーレス」「エフォートレス」などでしょうか。

とにかく着心地の良さと動きやすさを重視し、タウンシーンにもスポーツシーンにも対応するスタイルが特徴的です。アイテムでは、レギンス、スニーカー、スウェットパンツ、ジョガーパンツ、マウンテンパーカーなどが注目を浴びています。

このアスレジャーブームは一時的なものなのでしょうか?
アスレジャーブームの背景とそれに対応する各社の動向を見ていきたいと思います。

ヘルスデータ管理からヘルシーなワタシの発信まですべてスマホで

アスレジャーの重要な要素であるスポーツ。身近なスポーツとして人気なのはランニングやフィットネスクラブの利用ですが、経済産業省のデータによると、フィットネスクラブの会費売上高と会員数は年々増え続けており、健康志向の高まりがデータとしても表れています。

▼フィットネスクラブ会費売上高と会員数の推移(参照元:経済産業省 特定サービス産業動態統計 作図:シンクエージェント)

また、IoT技術の発展により、自分の身体の状態を常に計測し、それをスマホでデータ管理し、そのデータをもとにアドバイスを得ることが簡単に低コストでできるようになったこともスポーツをする習慣が広まっている一つの要因ではないでしょうか。一日どれくらいカロリーを摂取、消費していて、理想の体型になる為にはあとどれくらい運動をすればいいのかを常に手元のスマホで確認できることは、健康管理のモチベーション維持に多いに役立っています。フィットネスクラブでも管理をテーマに、パーソナルサービスを導入しているところも多いです。

健康管理の意識は年齢に関係なく若者にも浸透しており、NIKE+RUN CLUBアプリなどを使ってランニングデータを記録し、SNSでシェアしてモチベーションを高め合う動きが多く見られます。ランニングの記録と一緒にそのときのファッション、食事、走った場所の風景などの写真も合わせて発信される為、こんなランニング体験をしている私として情報が発信されていきます。逆に、友人や憧れの芸能人などの投稿を見て、気になるアイテムなどがあれば、写真についているメーカー名やシリーズ名のハッシュタグから検索して情報収集するという行動も一般的になっています。特にスポーツメーカーのシューズにはシリーズ名がついており、ファンの投稿がさらにファンを作る構造になりやすいです。このように、個人からファッションの要素を含んだスポーツ体験が発信される風潮も、スポーツのあるライフスタイルが広がっている理由ではないでしょうか。

ファッションブランド、靴専門店もアスレジャー対応

経済産業省の統計データによると、2016年度のアパレル産業全体の販売額は前期比97.9%となっておりますが、スポーツアパレル市場の国内出荷市場は前年比0.5%増の5255億円となっており、さらに2017年には2.9%増の5377億円まで伸びるとみられています。スポーツアパレルがアパレル市場全体に占める割合はさほど大きくないですが、今後ますます伸びが期待できる市場です。

▼アパレル産業の販売額(参照元:経済産業省 商業動態統計 作図:シンクエージェント)

▼スポーツアパレル国内出荷市場の推移(参照元:矢野経済研究所 作図:シンクエージェント)

最近では、スポーツブランド以外が、スポーツアパレルに注力しているケースが多く見られます。例えば、ユニクロが2017年3月15日に新宿高島屋8階にオープンした「UNIQLO MOVE(ユニクロ ムーブ)」。エアリズムやブロックテックやジョガーパンツなど、既存店で販売されているアイテムを動きをテーマにセレクトして展開しています。既存の商品シリーズである「ユニクロスポーツ」とタウンユースのブルゾンやTシャツなどを合わせて、アスレジャーファッションを提案しています。


(出典:https://www.fashion-press.net/news/28513)

靴の専門店大手のABCマートは約60億円を投資し、300店舗を改装してアスレジャーの取り扱い拡充を進めています。パンプスやブーツやビジネスシューズ売り場を縮小し、各スポーツブランドのシューズ売り場にランニングウェアやスウェットなどのアイテムを取り入れ、アスレジャーファッション全般を提案しています。また、ブランドによる違いが強調されるように、売り場を明確ゾーン分けしており、ブランド軸で探しに来た人がすぐに見つけやすくなっています。


(出典:http://blog.sapporo-esta.info/monthly/201509/)

その他にもスポーツに力を入れているアパレルブランドは多く、各社アスレジャーを意識した商品展開が伺えます。GAPの場合はレギンスやインナーを中心に、伸縮性、吸水速乾性などの性能を打ち出しており、グローバルワークは一つのアイテムをスポーツシーンとタウンシーンで着こなし方を変えて提案しています。また、10代から20代に人気のブランドMOUSSYはadidasとコラボしたアイテムを両方の公式オンラインショップで販売しており、運動性と機能性を重視したラインに力を入れています。

▼GAPFit Shop

▼GLOBAL WORK ACTIVE

▼GLOBAL WORK ACTIVE

▼MOUSSY×adidas

アスレジャーは「今年はミリタリー!」「今年はブリティシュ!」といったメーカーが発信するトレンドではなく、人々のライフスタイルや価値観にファッションが対応する形で作られたトレンドなのではないかと思います。働き方や生き方が多様化する中で、ビジネスとプライベートをあえて意識しない、女性っぽさ男性っぽさをあえて意識しない、スポーツシーンと街中でのシーンをあえて意識しないファッションが若者を中心に受け入れられていて、「シーンレス」「ジェンダーレス」「エフォートレス」という特徴は一時的なファッショントレンドではなく、時代を表しているキーワードになっているのではないでしょうか。

オムニチャネル推進チーム
アソシエイト・コンサルタント

福島 江里奈

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