インサイト 2016-01-19

売れる「良い売場」とは、どんな売場か?:山科 昌弘

yamashina

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今回は、売れる「良い売場」とは、どんな売場か?を考えていこう。
小売・流通業界において、ECの存在感が増す中でも、店舗の売場の重要性は変わらない。店舗の売場が良くなければ、顧客からの信頼は得られず、実店舗でもECでも売上は上がらない。

上記の表現であるが、ここで「良い売場」という表現ではなく、あくまで売れる「良い売場」という表現をしたのには、理由がある。それは、ともすれば「良い売場」というのは、効率やオペレーションのやりやすさを追い求める従業員やスタッフにとって「良い売場」になってしまうが、それは顧客にとって「良い売場」でなくなってしまうことがあるからだ。一目でどういった品揃えがあり、何がお買い得なのかが分かり、わくわくする、本当に顧客にとって「良い売場」であれば、顧客は満足して購入に繋がるのだ。

もちろん前提として、「売場」の他に、従業員やスタッフ等の接客や手際に関わる「人」と、本当に顧客が求める良い「商品」がなければ、売上は最大化できない。しかしながら、いくら良い「人」がいても、良い「商品」があっても、「売場」が悪ければ、顧客は購買意欲を喚起されず購入に繋がらないのだ。

ここで、売れる「良い売場」を作るための≪売場の❺原理≫についておさらいしよう。常識とされている部分もあるが、原理に立ち返ることで、新たな気づきも多いだろう。

≪ 売場の❺原理 ≫
  • ❶ 客動線が長くなると、売場への立寄率と購入点数が増えて客単価がアップする
  • ❷ 入店から早い時点で商品を買う(衝動買いする)と、客動線が長くなり、買物点数が増える
  • ❸ 消費者の約80%は、店に入ってから購入商品を決めている
  • ❹ 消費者は売場のコーナーを丸く廻ろうとする傾向がある
  • ❺ 陳列什器上の端の部分は見過ごされ、端から2番目に置かれた商品の方が視認率・購入率が高くなる

売場5原理_20160119

❶ 客動線が長くなると、売場への立寄率と購入点数が増えて客単価がアップする
⇒アパレルでいえば、「目的買いが多い」ボトムスや靴などを店内奥に陳列することで、客動線を長くできる。

❷ 入店から早い時点で商品を買う(衝動買いする)と、客動線が長くなり、買物点数が増える
⇒店外通路に面した入口ひな壇やテーブルに、セール商品や限定商品を置くことで、「まずは1点」の衝動買いにつなげる。それが客動線を長くすることにつながり、買上点数を増やすことができる。

❸消費者の約80%は、店に入ってから購入商品を決めている
⇒「ユニクロのチラシ」のように、事前にセール情報をチェックしてから来店するケースもあるが、それでも事前に購入商品をすべて決めて来店しているわけでは、決してない。「まずは来店」まで導き、その後は、上の≪第二の原理≫と同じだ。「まずは1点」の衝動買いにつなげ、客動線を長く、滞留時間を長くすることで、買上点数を増やすことができる。

❹ 消費者は売場のコーナーを丸く廻ろうとする傾向がある
⇒多くの店が、「店内の一番外側の通路」を主通路に設定し、消費者の「売り場をまわる円」の直径を最大化している。それにより、店内奥まで導き、客動線を長くしている。ただし、売場を「アイテム切り」ではなく、シーン別・テーマ別の「カセット切り」で陳列している場合は、「店内の一番外側の通路」が主通路には必ずしもならない。その際は、カセット毎のひな壇を「主通路側かつ、当たり面に持ってくる(マグネット効果)」とすることで、カセット毎の「まずは1点」の衝動買いにつなげられる。

❺ 陳列什器上の端の部分は見過ごされ、端から2番目に置かれた商品の方が視認率・購入率が高くなる
⇒消費者の目線は、売場什器を視認する際、左上から右下に流れる(※)。一什器に、単品アイテムを色配列で陳列する際は、並び順は自ずと決まってしまう。それに対して、一什器に複数アイテムを陳列する際、色配列で陳列するルールの優先度が下がるので、その限りではない。その際には、売込みたい商品を一番左ではなく、あえて2番目に置くことで、視認率・購入率を上げることができる。

(※)商品展開が、消費者の進行方向 右手の壁面什器の場合は、通常の「左上から右下」の視認ではなく、「右上から左下」の視認となる。

以上です。

自社で店舗の売場をお持ちの方は、上記の≪ 売場の❺原理 ≫に則っているか、今一度チェックすることをお勧めします。

▼≪ 売場の❺原理 ≫ 引用元
http://eco-buyer.seesaa.net/article/412149086.html
著者:小川 孔輔:法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授
代表著書:『マクドナルド 失敗の本質: 賞味期限切れのビジネスモデル』(2015/01/30出版)

データアナリティクスチーム
コンサルタント

山科 昌弘

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