インサイト 2018-04-11

今、“subsc”サービスが面白い:福島 江里奈

fukushima

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 “subsc”サービスで家にお花の居場所ができました

結婚式シーズン到来ですね。
先日参列した結婚式で、卓上のお花を持ち帰らせていただいたのですが、思いの外、花のある部屋が心地よく感じて、今まで買ったことなかったけど、自分の為に花を買うのもアリだなと思いました。

しかし、仕事帰りに花束を持って電車に乗るのも恥ずかしいし、最寄り駅に着くころには花屋さんは閉まっているし、服と違って買うのも面倒だなと思っていたとき、たまたまネットニュースで『subsc』というサブスクリプション(=定期購入)サ―ビスを知り、お花の定期便があることを知りました。

毎月1回、中目黒・代官山エリアにあるhana-naya(ハナナヤ)というお花屋さんからこだわりの花束が届きます。月額2,800円(税込)の定期購入です。

申し込んだポイントは
1.お店の場所が中目黒・代官山のおしゃれエリアであること(=きっとセンスが良い)
2.お店のインスタに写真がたくさん投稿されていて、ボリュームやテイストがわかったこと
3.「一度だけでもどうぞ」という言葉があり、解約しやすそうだったこと
です。2,800円という価格も、他の花屋で自分で選んで買うのとあまり変わらないと思い、お試しで申し込んでみました。

1回目の花束2回目の花束 3回目の花束
毎月お花の種類が書いてあるメモがついています。それで花の名前を知ります。今月からは以下のようなイラスト付き解説書+お花のお手入れ方法に変わっていました。

このサービスのいいところは、先入観、趣味嗜好を無視した意外な「出会い」があることです。ピンクのお花なんて絶対自分じゃ買わないと思っていましたが、届いてしまったことで、置く場所を考えました。今までは、「リビングに合う花を買おう」という発想だったのが、「この花が似合う場所を探そう」という発想に切り替わりました。自分にとって斬新なものが空間に意外とマッチすることに気づきました。

3回目にもなると初回のような感動はなくなるのですが、届く日が近づくとまるでサンタさんを待つ子供のようにそろそろかなと考えるようになり、自分でお金を払っているのにギフトされている感覚になっていました。解約しやすいのでお試し感覚で申し込んだはずがいつの間にか家計の一部になっている。サブスクリプション恐るべしです。

ZOZOTOWNが2月に始めたおまかせ定期便も、好み・体型データから毎月5~10点のセットをお届けするサービスですが、利用者は単に服選びの手間が省けるだけでなく、自分で服を買うときも届く商品に合う服を自然と選ぶようになる=だんだんZOZOっぽいファッションになっていくのではないかと思っています。この「選ばせないサービス」が新しい消費意識・ニーズを生むきっかけになる予感がしています。

全く自分で選ばせてくれないから、毎回新しい

サブスクリプション型ビジネスがここ数年で増えてきているので、音楽や動画などの無形商材を除いたもので簡単にマップ化してみました。最近は左下の「自分で選ばない・嗜好品」のゾーンが増えてきているように感じます。

サプライヤー側としてもアイテムを絞り込めるので在庫リスクが無かったり、毎月安定した収益が見込めるので参入しやすいという理由もあるのと思いますが、新しいものを体験したいという消費者心理が強くなっていることが大きいと思います。

左下で大事なのは利用者を飽きさせない目利きのセンスです。良いモノを継続的にお届けするだけでなく、なぜそれを選んだのかがわかるテーマや蘊蓄があると一層使用体験が意識に残り、シェアにも繋がります。嗜好品の少額サブスクリプションはお試しだけという利用者も多いと考えられるので、継続率と同じくらい新規率を意識する必要があると思います。数回の利用で定期購入はストップしてもブランドを好きになってくれたら今度は通常購入のお客様になってもらえる可能性も高いので、まずは一度使ってもらうことが大事です。

生活必需品のサブスクリプションはやはり品揃えの豊富なAmazonのイメージが強いですが、オイシックスは野菜の鮮度や産地で商品を差別化したり、レシピをつけてキュレーションの要素も付けたりと選ぶ理由を作っています。

日用品メーカーでも商品開発力を生かして、サブスクリプション限定の商品を開発したり、ブランドとコラボしたプレミア商品を作ったり、工場見学などの体験型チケットと商品を一緒にお届けしたりなど、まだまだ工夫はできそうです。

新しいブランド体験の入口にサブスクリプションサービスの可能性大

3月26日のニューヨークモーターショーで、LEXUS UXの北米仕様車でサブスクリプションサービスが開始されるという発表があり、話題になっていました。これはレンタルとリースの間の契約方法で、利用する期間によってメンテナンス費用もコミコミの料金を支払うというものです。

LEXUSがこのサービスを始めたのには、「LEXUSの新しい車種をどんどん試してほしいから」という理由もあるみたいです。確かに自動運転技術や安全装置など毎年技術革新が目覚ましい中で、「もうちょっと待てばグレードアップしたものが出るんじゃないか」となかなか購入時期を決められない人を後押しするサービスになりそうです。ブランド体験のハードルを下げるにもサブスクリプションは一役買っています。

買い物がコト型、体験型に向かっていると言われている中で、サブスクリプションサービスはこれからとても可能性があると思っています。趣味嗜好・ライフスタイル・購買傾向からパーソナルレコメンドされる消費体験はAIの導入や分析ツールの進歩で刻一刻と向上していますが、全く想像もしていなかったモノやサービスに出会う消費体験(例えば、和食店でシェフのおすすめコースを頼んで、今まで食べたことない野菜の調理法に感動する体験など)は人のキュレーション力やセンス、モノづくりへのこだわりなど創造力が試される領域なので、広がり方は無限です。体験価値の比重が高くなっている今だからこそ、出会い体験を提供するサブスクから目が離せません。

オムニチャネル推進チーム
アソシエイト・コンサルタント

福島 江里奈

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