インサイト 2017-07-04

ファミマの次世代コンビニ『ファミマミライ』とAmazonGoの対決はあるのか?:安藤 京子

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これが未来のコンビニの姿?「Amazon Go」

2016年の12月に発表されたAmazonの無人コンビニAmazon Go。スマホアプリをゲートにかざして入店し、欲しいものを手に取ると自動的にアプリの買い物かごに計上され、商品を棚に戻せばアプリの買い物かごから除かれます。ゲートを通って出口を出るときにはアプリで決済されてお買い物完了です。

仕組みとしては、AIとカメラと棚に取り付けられた重量センサーなどで商品の購入を認識するとしています。発表当時は様々なメディアで取り上げられ、人々に強烈なインパクトを与えることとなりました。2017年初頭には一般公開される予定でしたが、現在のところではまだ社内での試験運用にとどまっています。

理由としては、大勢のお客が来店したり、商品を手に取るスピードが速かったり、商品を元の場所に戻さなかったりするとAIが対応できないからと言われています。
しかしこの問題が解決されて実店舗がオープンするのは時間の問題でしょう。

日本でも。ファミマの次世代コンビニ「ファミマミライ」

Amazon Goの発表より遅れること約半年、2017年6月にファミマが次世代コンビニのコンセプトムービーを発表しました。
ファミマと伊藤忠商事とLINEが提携するとしており、こちらはLINEのAIを利用しています。
LINEのアプリをかざして入店すると顧客情報を読み取り、商品の前に立ったときに近くのディスプレイにレコメンド商品やキャンペーンを表示します。
会計はレジを通っても通らなくても可能で、カメラの画像認識で購入品を読取りLINEPayで決済するというシステムです。
棚の商品は自動補充ですがこちらのAIは追加発注を店員に促したり、需要予測をしてファミチキの補充を促したりもします。
両方ともAIと画像認識を活用しているが、Amazon Goとの最大の違いはファミマは無人ではなく、AIはあくまで従業員をサポートするツールとなっていることです。
ファミマの澤田社長は発表時「一番大事にしているのは18000以上の店舗の20万人の仲間」と従業員を大事にすることを強調しています。

対決?

Amazon Goのコンセプトムービーが発表された当時、日本に上陸したら日本のコンビニは全滅するのではとネット上では騒がれました。
しかし果たして本当にそうなるでしょうか。
Amazon Goでは30坪程度の店舗なら3人で回せると言われており、かたや日本のコンビニでは平均で1店舗20人のスタッフが必要と言われています。
少子高齢化による労働力人口の減少で人手不足が深刻化している日本のサービス業ではAmazon Goは一つの答えかもしれません。
しかしあえてファミマが「ファミマミライ」で無人化しなかったのは、以前am/pmが無人コンビニで失敗したように、日本では「無人」は一般的に受け入れられにくいという判断もあったからなのではないでしょうか。
日本のコンビニはお釣りを渡すときに手を添えたり笑顔で一言二言交わしたりと何気ないようなちょっとしたコミュニケーションが集客向上に繋がっています。
これからの日本は高齢化社会がますます進み、この傾向はさらに強くなるものと思われます。
そうした日本独特の風土ではAmazon Goの様な無人スタイルはおそらく流行らないのではないでしょうか。
ではAmazon Goが日本に上陸することはないのでしょうか。それはないとは言い切れません。
日本でのAmazonの売上高は1兆円以上に上っています。
これと、顧客のリアルでの購買データを紐付けてマーケティングに活用しないということは考えられません。
しかしイチから店舗を出店することは商習慣や商圏が米国と全く異なる場所だけに難易度はずっと高くなります。
それよりも、米国で構築したシステムを、ファミマやファミマの様にAIによる効率化を考えているコンビニに、データ集積を目的として日本向けにカスタマイズしたシステムを貸し出す方が難易度は低くなり合理的と考えられます。
米フォーブス誌でもアマゾンはこの無人システムを利益率の低さに悩む小売業に外販などで広く普及させ、リアルのマーケティングデータとネットでのデータを結合させ、本業のAmazon.comの売上も高めるという読みがあるといっています。
以上のことから考えていくと、Amazon Goと「ファミマミライ」が直接的に対峙するということはないと思われます。
しかし仮にAmazon Goの実店舗の上陸がなくても、Amazonは購買データを取得するシステムを日本に拡げていき、これからもAmazonジャパンの売上を伸ばしていくと考えられます。
Amazon Goが確かなサービスとなったとき、一番その状況を恐れるべきなのは、コンビニ業界でもリアル小売りの店舗でもなく、楽天やYahoo!の様なECモールなのではないでしょうか。

アソシエイト・コンサルタント

安藤 京子

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