インサイト 2017-05-16NEW

ID-POS時代の顧客分析:磯田 たみよ

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購買履歴に顧客IDが紐つけられるようになり、顧客軸での分析は業務に必須となりつつあります。とはいえ、分析がなかなか打ち手とつながらず、苦労したご経験はありませんか。

今回は、顧客育成を目的とした購買分析についてお話しします。
顧客分析であればRFM分析、購買分析であればABC分析やバスケット分析など、分析の手法はいろいろなところで解説されていますので、今回は個別の手法ではなく、アプローチの考え方をご説明します。

最終的には、誰が何を買ったかまでみる

施策につなげるためには、KPIの数値化だけでなく、定性的な解釈が必要です。
そのため最終的には、誰が何を買っているかまで、ドリルダウンしてみることになります。
とはいえ膨大なデータを1件1件目視するのは、現実的ではありません。
そこで「仔細にみるべき場所のあたりをつける」ことが必要になります。

全体の見取り図を作る

あたりをつけるためには、販売構造の全体把握が必要です。
最初に、見取り図を作成します。
購買の全体構成がわかる数表やチャート、グラフです。
この段階では、「金額」と「数」両方みることが大事です。
たとえば、こんな感じです。(図①、図②)

「よいお客様」と「そうでないお客様」を分ける

まずは両者の閾値を決めます。
「そうでないお客様」を「よいお客様」に引き上げることをゴールとして、両者を比較するためです。
ロイヤリティ・セグメント別のKPI比較は、たとえば、こんな感じです。(図③)

「よいお客様」は、金額・利用回数ともに多いお客様です。
金額はLTV(期間中総利用額)でみます。
「超ロイヤルなお客様」には特殊なケースが含まれることがあるので、育成目標として適切ではないと判断する場合は、除外します。

「そうでないお客様」は、見込み薄のお客様と、潜在ポテンシャルが高いお客様が入り混じっているので、要因別に分けて把握する必要があります。
数値が低く出る要因は、いくつかあります。

・日が浅いから
・購入商品の特性に起因(低頻度、低単価)
・休眠期間あり、もしくは離脱

この段階でよく議論になるのが、「よいお客様」を「金額」でみるか「数」でみるかです。
結論からいうと、数でみるほうがよいです。
施策との因果関係がつかみやすいからです。

定性的な仮説を計測できるようにする

多少面倒でも、仮説に基づいたメタデータ付与は、やっておきたいところです。
顧客の買い方や商品をタイプ分けするフラグをつけるとか、カテゴリを適切な集計単位にまとめなおすとかです。
これを行う事で、高度な分析手法を使わずとも、クロス集計で簡単に結果が得られるようになります。
たとえば、こんな感じです。(図④)

はじめにお話しした、明細までドリルダウンしてみる必要があるのは、主に履歴が豊富にある「よいお客様」についてです。
上記のようなメタデータを使って対象者を絞ることで、明細までドリルダウンしたときに、より傾向がつかみやすくなります。
購入インターバルが一定期間以上空いているお客様だとか、高頻度で特定カテゴリをリピートしているお客様、といった分析の観点に沿って対象者を絞り込み、この人達がどんな買い物をしているのかを、具体的にみるのです。

育成のための顧客セグメントの設定

通常、顧客の購買プロセスは、お試し購入 ⇒ 特定カテゴリへのリピート ⇒ マルチカテゴリ化 といった具合に進みます。
複数カテゴリで買われる段階になると、購入機会が増え、レジ単価もあがりやすくなるため、ロイヤル化しやすくなります。
購買プロセスの初期では、その顧客の「店への期待」は、「最初に買った商品・カテゴリ」に現れます。
初回に化粧水を買う人は、次も洗顔や美容液といったスキンケア商品を買うことが多く、初回にメイク商品を買う人は、次もやはりメイク商品を買うことが多いのです。
顧客育成の観点でいうと、この店への期待を、徐々に広げたりずらしたりして、顧客が気がついていない他のカテゴリの商品に目を向けさせることが大切になります。

顧客のプロファイリングにあたっては、ペルソナを必要以上に具体化すると、9割妄想で実態と乖離する事態に陥りがちなので、妄想は適度なところに留めましょう。
ペルソナを具体化しすぎることの弊害は、ターゲット・スコープが必要以上に狭くなることです。
プロモーションのために具体的なペルソナが必要な場合は、購買分析でセグメント化したIDに対して、ユーザーアンケートで定性的な部分を補強するのがよいでしょう。

次回は、仮説に基づいたメタデータ付与のあれこれや、分析のためのカテゴリ設定について、もう少しお話ししたいと思います。

今回作成した図のテンプレートは、こちらからダウンロードできますので是非どうぞ。

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コンサルタント

磯田 たみよ

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